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             <特別編>
エキスポタワー
       大阪府吹田市
解体を待つ塔A
解体を待つ塔@は
こちら

エキスポタワーの周辺は、当然ながらコンクリートで固められている。
だがそれをモノともせず、切れ目のいたる所から、植物が力強く伸びているのだ。

朽ち果てた未来の塔、それとは対称的に強い生命力を見せる雑草達・・・。


いかに科学が進歩しようと、
 人間は自然と離れては生きられない


宮崎駿監督のアニメ『天空の城ラピュタ』でそんな話が出てきたが、この光景はまさに、その言葉と重なるのではないか・・・。

エキスポタワーの外壁のすぐ近くに、黒く四角い石が見える。

実はこれは、万博の工事中に、事故で亡くなった人達の慰霊碑なのだ。17名の方が祀られているという。


タワー解体工事は大規模なものになるだろうから、非常に危険な位置にあると言える。 決して破損等が無い様に願いたい。


もしかしたらタワー解体後(もしくは解体作業中)、慰霊碑の移転もあり得るかも知れない。

エキスポタワーのキャビネット部は非常に複雑な形状のため、見る角度によってその表情はかなり違う。
写真は南東からのタワー。

真北(太陽の塔方面)が正面となるため。南側はいわば「裏側」。大きな展望室は無い。

右の写真は、タワーのそう高くない場所だ。この部分はある意味、現在のエキスポタワーの全てを物語る。


かつて塔は総銀色だった・・・と先に書いたが、この部分、あとから塗り直した塗装がはがれ、元の銀色が顔を覗かせている。


その下に見える細長いものは、実は携帯電話の中継アンテナなのだ。
あまり知られていないが、エキスポタワーは万博当時、世界で初めて「衛星通信で新聞を送る」という実験を成功させた塔でもある。
その偉業も、もはや過去の話。今では限りなく庶民的な「携帯電話のアンテナ」と化しているのだ・・・。

向かい合う2つの巨大な塔。
万博から32年間、ずっとお互いを見つめてきた。
しかしもうすぐ・・・片方が、この世から消える。
黄昏に溶けこんでゆくエキスポタワーは、
その独特のシルエットが風景と調和し、
何とも言えない美しさを漂わせる。


今まさしく「黄昏の時」を迎えているエキスポタワー。


静かに・・・解体の時を待つ。