科学の門 |
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茨城県つくば市 |
「EXPO’85」―1985年に茨城県筑波郡…現在のつくば市で行われた国際博覧会「つくば科学万博(つくば博)」で買ったお土産だ。かつては光を当てると「エリーゼのために」のメロディーが流れた。今となってはドーってコトないが、当時少年だった私は、このハイテクぶりに驚いたのを覚えている。現在は壊れてしまい、まったく動作しないが…。 大阪万博と愛知万博の間に開催され、今ではすっかり忘れ去られたつくば博。今回の旅は、その跡地を訪ねる。 |
茨城県つくば市は、近年、にわかに注目を集めている。2005年の「つくばエクスプレス」の開業だ。東京とつくば市を結ぶ新線の誕生により、都心から茨城県へのアクセスは格段に便利になった。 東京側のターミナル駅・秋葉原からその列車に乗り込み、終点のふたつ前「万博記念公園」で下車する。 駅の名前に騙されてはいけない。「駅を降りたら目の前に万博の跡地が…」なんて考えてたら痛い目に遭う。跡地公園まではかなりの距離を歩かねばならないのだ。しかも舗装されていない道や、上り坂もある。きっと乗客から苦情があったのだろう。看板にこんな記載が。 「当駅から万博記念公園まで徒歩20分です」 …。 |
駅の前には、故岡本太郎氏の作品「未来を視る」が設置されている。 つくば博の15年前に行われた「EXPO’70」大阪万博で、太郎氏が「太陽の塔」を製作したのは有名だが、そんな“万博つながり”で、氏がこの作品を寄贈したという。元々は万博跡地に設置されていたが、新線の開業を機にこの地に移設された。 ここに移される前は、公園の片隅で放置状態だったというから、「うまいこと“再利用”したなぁ」というのが率直な感想である。 |
駅の近くの歩道で、素晴らしいものを発見。車止めに、つくば博のシンボルマークと、そのマスコットキャラクター「コスモ星丸」のプレートが埋め込まれていた。それにしても「コスモ星丸」、表情に乏しいなぁ。今では考えられない、応用の利かないデザインだ。 |
駅から公園まで、テクテクと歩く。周囲はのどか極まりない田園風景が広がる。 点々と、公園への道標が立っている。歩道がない道路も歩かねばならないので、車に注意せねばならない。また自然が多く残っている(ぶっちゃけ田舎)ので、色んな虫や小動物がそこら中を走り回っている。ヘビの抜け殻なんかもアチコチにあった。注意されたし。
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やがて「科学万博記念公園」たどり着く。あるのはテニスコートぐらいで、ほかは本当に何もない。その一角に立つ、銀色のオブジェ。
「科学の門」だ!
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四本の支柱、その中心には無数の鉄球が吊り下げられている。 中央の床には、色あせた地図が。ここが「つくば科学万博」の跡地であることを、ひっそりと示す。 実はこの「科学の門」は、ある仕掛けが施されている。それは「吊り下げられた鉄球が、見る角度によって4人の偉人の顔に見える」…というものである。「科学の門」なはずなのに、実は仕掛けは超アナログなのだった(^_^;) 以下は4方向のから見た「科学の門」の鉄球部分。それぞれ、地面に埋め込まれている偉人の“説明タイル”の上に立ち撮影(撮影者は169センチ)。 |
ニュートン…“科学はひらめき”。 「私は仮説をつくらない。」 |
アルキメデス…“科学はかがやき”。 「私に棒と支点を与えよ。 そうすれば地球を動かしてみせる。」 |
ガリレイ…“科学はおどろき”。 「それでも、地球は動いている。」 |
エジソン…“科学はときめき”。 「天才とは1%のひらめきと 99%の努力である。」 |
あなたには、偉人の顔が見えただろうか?何となく…という感じはするが…。 この門は、偉人の顔が“見える”のではなく、“見えるような気がする”…つまり、見る人の「想像力」をかき立てる。…そう考えた時に、ひとつの仮説が頭に浮かんだ。この門には、いくら科学が進歩しても、最終的に求められるのは人間の「想像力」なのだ…というメッセージが込められているのではないか、と。
今はまだ静かなつくば博跡地。だが新線の開通で、この周辺も東京のベッドタウンとして姿を変えてゆくに違いない。駅前には早くも、真新しいマンションが建ち初めている。
今も「つくば科学万博」跡地に立つ、銀色のオブジェ。 |
科学の門 |
位置 つくば市御幸が丘6、科学万博記念公園内 |
アクセス |
備考 駅から公園まで、かなり歩きます。歩道のない場所もあり、自動車に注意。 |
最終更新日時:2007年8月1日 |