今津灯台 |
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兵庫県西宮市 |
その灯台は、酒の製造で名高い、西宮・今津の浜辺に立っている。 私は「灯台」というと、「白くて高くて、強烈な光を放つ建物」というものを連想していた。ところが、初めて今津灯台を見たとき、思わず口から出た言葉があった。 「何じゃコリャ?」 高さ6メートル(基盤を加えると6.7メートル)、木造。「灯台」なので一応は夜には光を放つが、それもお世辞にも強い光とは言えない上、怪しい緑色をしているのだ。 |
その歴史は長い。 創建は1810年(文化7年)。創健者は、大関酒造の長部家5代目長兵衛。 1858年(安政5年)、6代文次郎が再建し、現存するのはこれである。つまり元々は、個人が自腹を切って立てた灯台なのだ。 その後何度か修復・修理が行われ、現在に至る。 公式名称「大関酒造今津灯台」、西宮市文化財指定。 |
下から見上げると、けっこう高い。 |
近づいて見ると、灯台本体にたくさんのラクガキ、これはいただけない。 わざわざ、灯台目当てに訪れる人もない。 耳に入るのは、波の音と車の排気音だけ。 |
こんな古ぼけた灯台だが・・・、ここ、西宮に住む人々にとっては、
シンボルであり、誇りであり、大げさに言えば・・・「守り神」であるのだ。
かつて灯台の近くに住んでいた友人から、興味深い話を聞いた。灯台からそう遠くない場所に位置する「真砂中学校」。その校歌には、「灯台」が登場するとうのだ。調べてみると、その校歌の冒頭部分に、確かに「灯台」の文字が。 希望豊けき 灯台に もちろんこのその灯台とは、「今津灯台」を指すにほかならない。 学校というものは、地域と密接な関係にある施設なはず。…そしてその校歌というものは、 学校がそこに存在する、意義や誇りが込められたものである。 その校歌に今津灯台が出てくることからも、 この灯台がその地域の人々にとって、 かつてどのような存在であったかを伺い知ることができる。 |
今津灯台は、既に灯台としての役割は終えていると言っていい。 しかし、今もその緑色の光を発し続ける。今津灯台が照らしているのは、もはや海ではない。西宮という地に住む人々の心なのだ。 今津灯台は今夜も輝く。 そしてこれからも、ずっと…。 |
今津灯台 |
位置 西宮市今津西浜町17 |
アクセス |
備考 今津灯台へ行きつくには、防潮提の門の中へ入らねばならない。初めて訪れた時は、「入っていいんかな?」と戸惑ったが、ノープロブレム、どんどん進みましょう。 |
最終更新日時:2007年8月15日 |