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今津灯台
  兵庫県西宮市

その灯台は、西宮・今津の浜辺に立っている。

 

 

もしあなたが「灯台」という言葉から、「白くて高くて、強烈な光を放つ建物」という事を連想するならば、 今津灯台を見たとき
「何じゃコリャ?」
と思うに違いない。
木造6b(基盤を加えると6.7b)、木造。
夜には光を放つが、それもお世辞にも強い光とは言えない上、怪しい緑色をしているのだ。

数々の石碑に囲まれているのが長い歴史を感じさせる。


愛車・カタナと今津灯台。1999年8月23日、この日初めて今津灯台を訪れた。
夜のとばりが降りようとしている。
今津灯台は、緑色の光を放ち始める。

その歴史の長さに驚かされる。

創建は1810年(文化7年)。
創健者は、大関酒造の長部家5代目長兵衛。 1858年(安政5年)、6代文次郎が再建し、現存するのはこれである。
つまり元々は、個人が自腹を切って立てた灯台なのだ。

その後何度か修復・修理が行われ、現在に至る。

公式名称「大関酒造今津灯台」、西宮市文化財指定。

あたりを見まわすと・・・、
野球場、マンション、ヨットハーバー、高速道路。 しかも港の奥まった場所に位置し、 シュチュエーション的には、灯台というより変な街灯、という感さえする。

近づいて見ると、灯台本体にたくさんのラクガキ、これはいただけない。
わざわざ、灯台目当てに訪れる人もない。 耳に入るのは、波の音と車の排気音だけ

海側の突堤からのショット。
今津灯台がどんな場所に立っているのかが良く解る。
右側にはマンション群、左には、野球場のフェンスが見える。

 

こんな古ぼけた灯台だが・・・、ここ、西宮に住む人々にとっては、
シンボルであり、誇りであり、大げさに言えば・・・「守り神」であるのだ。

友人、チムから興味深い話を聞いた。

彼の出身校、西宮今津高校の校歌には、「灯台」が登場するとうのだ。 もちろんその灯台とは、「今津灯台」を指すにほかならない。
学校というものは、地域と密接な関係にある施設なはず。・・・ そしてその校歌というものは、 学校がそこに存在する、意義や誇りが込められたものである。
その校歌に今津灯台が出てくることからも、 この灯台がその地域の人々にとって、 かつてどのような存在であったかを伺い知ることができる。

 

 

西宮神社近くの歩道で見つけた、
今津灯台をあしらったレリーフ。
 

今津灯台をバックに。
マンションの光に紛れ解りにくい・・・。

今津灯台は、既に灯台としての役割は終えていると言っていい。
しかし、今もその緑色の光を発し続ける。
今津灯台が照らしているのは、もはや海ではない。西宮という地に住む人々の心なのだ。

今津灯台は今夜も輝く。
そしてこれからも、ずっと・・・。

今津灯台
西宮市今津西浜町17

アクセス:阪神電車 久寿川駅下車 南西へ徒歩15分
      今津灯台へ行きつくには、
      防潮提の門の中へ入らねばならない。
      初めて訪れた時は、「入っていいんかな?」と戸惑ったが、
      ノープロブレム、どんどん進みましょう。