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             <特別編>
エキスポタワー
       大阪府吹田市
「ショップ・タワー」最後の日


エキスポタワーのすぐそば。
ちょっと変わった姿の売店がある。
タワーのキャビネットを模したフレームが、
堂々と屋根の上に乗っている。

その名も「ショップ・タワー」だ。

タワーとリンクする奇抜な姿。
万博当時からの建物だという。

エキスポランド(遊園地)の南ゲート付近、
メインゲートの真反対側にあるため、客の出入りは少ない。

その「ショップ・タワー」最後の瞬間に、
幸運にも立ち会うことができた。


2002年、7月30日。晴れ。


エキスポタワーについて調べていた私は、
空いた時間を見つけては、エキスポタワーへと通っていた。
この日もそうだった。

エキスポタワーの近くまで来た時、
ある異変に気がついた。
いつもは静か極まりない、タワーのすぐそばにある売店。
「ショップ・タワー」。
なんだか様子がおかしい。
ショップ内部の商品は撤去され、
店番のおばちゃんが、せっせと掃除をしていた。


実はこの売店、7月いっぱいで営業停止、
エキスポタワーとともに撤去されることが決まっている。
かなり前に、店員のおばちゃんから聞いた。


しかし、今日は7月30日。
あと一日(7月31日)営業するはずなんじゃあ?

・・・不思議に思っておばちゃんに聞いたところ、
明日は(隣接の遊園地)エキスポランドの休園日。
 なので、営業は今日までなんよ
」。

おばちゃんによると、午前中までは営業していたらしい。
昼過ぎに、業者が商品を回収に来て・・・。
今、最後の掃除をしているところなのだという。

おばちゃんを一枚撮らせてもらおうとしたら、
そんなん撮らんとってよ〜恥ずかしい!
 
私がべっぴんやったら、喜んで撮ってもらうんやけどねえ〜
いかにも大阪のおばちゃんっぽい応対である。

ほとんど商品は引き取られたけど・・・、
 簡単なジュースやったらできるよ!

そのおばちゃんのヒトコトに甘え、
「ショップ・タワー」の最後の客になることにした。

 

 


 

 


私は「ぶどうジュース」のSサイズを頼んだ。
しかし、おばちゃんが持ってきたのは、Sサイズよりひとまわり大き目のカップ。

最後やから、サービス!
 Mサイズに入れたったよ!


思いがけないサービス。嬉しい。

ぶどうジュースを飲んでみた。
ちょっぴり、ぬるい。
でも、こんなにも美味しいぶどうジュースは、今まで飲んだことが無い。


今、長い歴史に幕を閉じようとしている「ショップ・タワー」。その最後の客となれたことが、とても嬉しかった。


↑これが「ショップ・タワー」最後のオーダー。
 Mサイズのぶどうジュース。

エキスポタワーの前のベンチに座り、ぶどうジュースを飲む。

しばらくして、おばちゃんが店から出てきた。
最後の掃除を終えたようだ。

店の扉に施錠し、僕の方に向って、
じゃ・・・失礼するね
そう言って、 駐車場のほうへ向って歩いて行った。


私は忘れない。
このショップの、最後の客となれたことを。
私は忘れない。
エキスポタワーのすぐそばに、
奇抜なデザインの建物があったことを。


「ショップ・タワー」。
ありがとう。そして・・・・さよなら・・・。

 

↑完全閉店直後の「ショップ・タワー」。
もうこの店に「営業中」の札がかかることは無い。
そして・・・エキスポタワーとともに、解体を待つ。