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             <特別編>
エキスポタワー
       大阪府吹田市
万博記念館
遊園地・エキスポランド中央口近くに、
DILIPA(ディリパ)」という、大阪ガスのショウルームがある。

入口に噴水が設置された、割と綺麗な建物だ。
しかし、実はこの建物は、
万博開催期間中は、郵便局として使われていたという。

つまり建物自体は、万博当時からのものなのだ。
大阪ガスショウルーム・「DILIPA」入口。
その後方にエキスポタワーが見える。

この建物の二階の一室は 「万博記念館」として、
当時の資料等が展示されているという。

私はここで、エキスポタワーの資料を探してみることにした。

先に書いたように、DILIPAはショウルーム。入ったとたん、お姉さんに「いらっしゃいませ」と言われてしまう。
すごく明るく、いい雰囲気。


万博記念館は二階。階段を上がってあたりを見回すと、その部屋は一撃で解った。この一室だけが、明らかに違うオーラを放っている。



いよいよ、そこに足を踏み入れる。
想像していたより、ずっと狭い。 あれだけ大規模に行なわれた万博の記念館が、まさかこんなに小さいとは。

各パビリオンに展示されていた工芸品や剥製などが、ひっそりと置かれていた。
当時の記念スタンプを復刻させたコーナーや、万博の記録映画を見られる「映像コーナー」もある。

私はゆっくりと、エキスポタワーの資料を探し始めた。
まず目についたのは、会場の縮尺模型である。

縮尺は1500分の1。
製作は昭和45(1970)年9月。万博の開催期間は同年の3月15日〜9月13日だから、閉幕前後に製作されたもの、ということになる。

正直言って、出来はあまり良くない。特に、太陽の塔の「背中の顔」が、腹部に書かれているのはヒドイ。

エキスポタワーに注目してみる。

模型でもやはり、エキスポタワーは際立って高い。

万博会場には色彩豊かなパビリオンが並ぶ。
しかしそれが返って、銀色一色の塔を引き立たせている。

万博開催のずっと前に発行されていた、
日本万国博子どもニュース」という新聞があった。
万博について解りやすく説明している、子ども向け新聞だ。
監修は文部省、発行は日本万国博覧会協会。

その中のひとつ、昭和43年9月1日号に、
エキスポタワーの想像図が掲載されていた。

 

(上)「万博こどもニュース」。拡大され、額に入れられてワイヤで吊るされている。当時の子ども達は、胸躍らせながら読んでいたのだろう。

(左)エキスポタワー想像図のアップ。完成したものとは、似ても似つかないデザインだ。
実際のエキスポタワーとは、似ても似つかない。
また、名称もまだ決まっていなかったようで、
「展望塔」という表現にとどまっている。
(一方「太陽の塔」は決定デザイン・名前ともに記載)

最後の最後まで、設計に難航した・・・とは聞いていたが、
この新聞の発行は、各パビリオンが次々着工され始めた頃。
この時期にデザインも未決定とは、あまりに遅すぎる。



エキスポタワーに関する資料は、本当に少ない。
記念館は小さい上、タワーそのものもまだ現存している。
資料を期待するほうがおかしいか・・・。


少しがっかりしていると、
ガラスケースの中に、素晴らしいモノを見つけた。
真鍋博(まなべひろし)さんが書いた、万博会場の想像図である!

もちろんそこには、エキスポタワーも・・・。

真鍋さんは、私が尊敬する作家・星新一さんの作品に、
挿絵を提供していたことでも有名である。

このイラストはあくまで「想像図」なので、かなりの誇張が見られる。
だがとにかく、このエキスポタワーの表現を見て欲しい。
こんなタワーは、真鍋さんにしか書けないだろう。

記念館の展示品の中で、このイラストが最も感動した。

私の個人的な感想として、
「万博記念館」がこの程度の規模では、あまりにも寂しい。
あの、日本中を熱狂させたというイベントの記念館なら、
もっと展示するものもあるだろう。もっと詳しく解説してもいいだろう。
万博記念公園の倉庫には、万博で使われた、
様々なものが眠っていると聞く。

それはあまりに勿体無いのではないか?

是非、この記念館のありかたそのものを見直して欲しい。



そしてもうひとつ。
記念館の展示品に、
エキスポタワーの遺産」を加えてもらえないだろうか?

エキスポタワーが解体されたあと、
その一部を、この記念館に残して欲しい。
タワーの鉄骨でも、球形のジョイントでもいい。
「エキスポタワー」という、万博のシンボルが存在した証を・・・。

万博記念協会の方々、何卒お願いいたします。

万博記念館

アクセス:
大阪モノレール「万博記念公園」駅下車すぐ
大阪ガスショウルーム「DILIPA」二階

開館時間:
10時〜17時(水曜日休館)

入館は無料です。