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             <特別編>
エキスポタワー
       大阪府吹田市
「時」が動き出した
9月8日

この日も私は、エキスポタワーの元へと向った。
正直、解体が始まるのはもう少し先だと思っていた。
しかしこの日・・・。
タワーの周辺に、明らかな変化が見られたのだ。
エキスポタワーの周りに、鉄骨の骨組が組まれていた。
間違い無く、工事のための「防護壁」の骨組である。

いよいよ・・・始まるのだ。解体作業が・・・。
鉄骨は無造作に、コンクリートの地面に打ちつけられていた。防護壁なのだから、しっかり固定するのは当たり前なのかも知れない。

ただ・・・これを見て思い知った。
もはやエキスポタワーは、ただの「解体対象」でしか無いということを。
近い将来・・・地面に鉄骨を打ちつけたように・・・何のためらいも無く、タワーは切り刻まれていくのだろう。
タワー脇には資材が置かれ(上)、タワーに以前付いていた携帯電話のアンテナも取り外されていた(右)。

「準備は万全」といった感じである・・・。

始まってしまう。
今か今かと待ちつづけながら、心の片隅で
「ずっと始まらないで欲しい」
そう願っていた、エキスポタワー解体工事。
それが間もなく・・・始まってしまう。


そしてこの三日後、9月11日。
共同通信社が、
エキスポタワー解体工事開始」のニュースを配信。
ついに公式発表が出たのである。
私は言い知れぬ悲しさに襲われてしまった。

しかし、これでいいのだ。
万博終了から長い年月、止まっていたタワーの「時」。
未来に進むこともできず、過去に戻ることもできなかった。

その時計の針が今、ようやく動き出したのだ・・・。

9月18日

解体工事開始の正式発表から一週間後。
私はタワーの状況を確かめに出かけた。
当然ながら、防護壁は既に完成していた。
何故か一部分だけ壁が無い部分がある(写真中央付近)。
そこから、内部を覗いてみた。

奥で工事を行っている。パワーショベルを使い、何かを解体しているらしい。
だが、タワー本体の解体作業ではない。周辺にあるプレハブ小屋を解体しているようだ。


これは推測だが。
エキスポタワーのような巨大建造物を解体するには、かなり大きなクレーンが必要となる。クレーンを据え置くには、それなりの場所が必用だ。
まずはタワーの周辺に、クレーン設置スペースを確保しているのではないだろうか。

気合で撮った、防護壁内の様子。。
タワー本体には、まだ全く手が加えられていない。


なぜか、以前よりタワーが寂しげに見える・・・。

2002年9月21日は「十五夜」、いわゆる「仲秋の名月」であった。一年で最も月が美しいとされている夜・・・。エキスポタワーにとって、「最後の名月」となった。

私はその次の日の夜、万博公園へと出向いた。十六夜(いざよい)月とタワーを写真に収めるために・・・。
おぼろ月に照らされ、闇夜にシルエットを浮かび上がらせるタワー。その姿はなんとも幻想的。


夜は肌寒さを感じるほどになり、タワーにとっての「最後の秋」は深まりつつある。
季節は巡る。だが、これから迎える季節は、もうこの塔には再び巡って来ないのだ・・・。


数ヶ月後に「最後の冬」が終わり、「最後の春」を迎える頃・・・、タワーは完全に姿を消すことになる。