▲TOPページへ

             <特別編>
エキスポタワー
       大阪府吹田市
秋、散りゆく
11月22日
前日の11月21日、マスコミが、
エキスポタワー解体開始」の情報を配信。
タワー本体の一部が切断されたという。

その日、私はタワーを見に行っていたのだが、
時刻が遅かったこともあり、
タワーの大きな異変に全く気がつかなかった。

次の日、その変化を確かめるべく、
私は再び、エキスポタワーの元へと向った。

タワーへと続く階段を上る。

前日の報道のせいだろうか、エキスポタワーにカメラを向ける人を多く見かける。今までにない光景だ。
今まで見向きもされなかったのに、解体が始まって注目されるとは・・・皮肉な話だ。

本格的な撮影機材を揃え、熱心に撮影している熟年紳士もおられた。かつて万博を経験された方だろうか。


タワーは下からてっぺんまで、薄い網にすっぽりと覆われている。

せわしなく動く巨大クレーン。

クレーンは時々、頂上部分から鉄の塊を吊り上げ、地上へとゆっくりと下ろす。その塊ひとつひとつが、タワーの「体の一部」だったのだ・・・。

タワーを覆っている網の最上部には、解体を行っている業者のマークが。

正面にある正方形のマーク、その右下角部分に、黒い影があるのがお判りになるだろうか。あれは作業員の方である。
高所恐怖症の私は、想像しただけで恐怖感を覚えてしまう・・・。


言うまでも無く、非常に危険な作業現場である。 誇張ではなく、一瞬の油断が死に直結するだろう。

どうか気をつけて、事故の無いように心から願う。
キャビン部分にも大きな変化があった。展望キャビンのうちのひとつ、その窓の一列が撤去され、吹き抜けになっている。

このようなごく一部分だけを撤去するのは、ちょっと不自然な気がする。

これは一体、何を意味するのか・・・。


先日の報道で「避雷針などがある塔頂部が切断された」とあったが、その通り、タワーの特徴的な切先が無くなっている。

また、その周辺を支えていたアームも消えているのが確認できる。



塔のてっぺんは、ぽっかりと穴が空いているようだ。それを見た私の心も、大切なものを失ったような空虚感に襲われる。


この日の空は、突き抜けるように澄んでいた・・・。


秋は深まり、
色づいた木々が美しい。

「秋」は一般的に、
autumn
(オータム)」と英訳される。

しかし英語では、もうひとつの呼び方がある。
木々の葉が、止めど無く散り落ちてゆく様から、
――――「fall
(フォール)」、と。



エキスポタワーが・・・散ってゆく・・・。