もはや神戸の冬の風物詩となった「神戸ルミナリエ」。
私が毎年楽しみにしているイベントのひとつだ。
元々ルミナリエは「震災犠牲者の鎮魂」の目的で始められた。だが近年は資金不足から規模が縮小され、その資金集めのためにグッズが作られ、商業性が増し、行きつくところは「開催意義の曲折」。当初の開催意義であった「震災犠牲者の鎮魂」の色は、確実に薄れてしまっている。
私は、それでもいいと思う。
震災の年、私は第一回のルミナリエを見に行った。そこには多くの人、人、人…。震災直後、「神戸はもうダメだ」と言われていた。あまりに大きな被害を受けたため、元のような町に戻るのは無理だと…。そして、神戸をやむなく離れていった人も、数多く居た。
ルミナリエは、そんな状態の神戸に人を呼び寄せた。神戸を訪れる人々に勇気を与え、そして今、神戸は完全に元の姿を…いや、震災以前以上の姿となって蘇えっている。
確かにルミナリエの一番の目的は「震災犠牲者の鎮魂」だったかも知れない。だがそれと同時に、打ちひしがれていた神戸に勇気を与える「希望の光」だった。
そして今も、多くの人に希望を与える存在であることは違いない。
さて、ルミナリエは「点灯の瞬間」が最も賑わうという。私も一度だけ立ち会ったが、暗闇から一気に浮かび上がるルミナリエは本当に美しく、「その瞬間を見たい」という気持ちもわかる。
だが、私は、それ以上に素晴らしい時間があることを知っている。
12月25日…、ルミナリエ最終日の「消灯の瞬間」である。
「点灯式」ばかりクローズアップされるが、ちゃんとルミナリエの「消灯式」が存在する。そしてそれは、とても感動的なものなのだ・・・。
昨年もこの瞬間に立ちあった私は、どうしてもまたあの時の感動を感じたくて、その時間に出かけた。
消灯まで、あと数分という時。
ルミナリエの下には、正装の方たち(恐らく消防員の方たちだろう)が居た。先頭の人が叫ぶ。
「震災犠牲者の御霊に、敬礼!!」
近年、商業化が叫ばれるルミナリエだが、この瞬間だけは違う。
この時間だけはルミナリエは「お祭り」なんかじゃない。本来の意義である「犠牲者の鎮魂」の場になる。あまりに張り詰めた空気に胸が詰まる。
鐘の音が鳴り響く中、ルミナリエは消灯された…。
今回、その「ルミナリエの消灯の瞬間」をカメラに収めた。
デジカメのオマケ機能なので、画質も音質も最低レベルではある。だが、その時にルミナリエの下に流れる、厳かな空気を感じてもらえると思う。
とても重いですが、どうぞご覧下さい。
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動画「ルミナリエ2003 消灯の瞬間」
容量・・・約9.0MB
時間・・・60秒
形式・・・AVIファイル
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(2004年1月17日) |