私がこのゲームに出会ったのは、まだ入院中の2001年1月のことでした。
暇つぶしに買った、雑誌の付録CDに収録されていたのです。
初めはたかがオマケのゲームと軽い気持ちでプレイしてみたのですが、
これが…めちゃめちゃ感動した…。
ゲームの題名は、 「ハーバーランドでつかまえて」。
ゲーム自体は、すごく簡単です。
時々出てくる選択肢を選んで進んで行く、 いわゆる「アドベンチャーゲーム」です。
舞台は、神戸。
関西嫌いの主人公が、神戸に転勤になった所から、物語は始まります。
やがて、彼は一人の少女と出会うのですが…。
そこから先は、実際にゲームをプレイしてみてください。
なぜ、僕がこの作品にここまで思い入れるのか?
作品自体がとても面白いこともありますが、
ストーリーの中に「震災」が絡んでくる・・・というのが大きいのです。
そう、「阪神・淡路大震災」です。
別エッセイ<「ガッツくんトレーナー」への思い>の項でも書いているように、
僕は震災という出来事を風化させてはならない、
という思いが心の中に強くあるのです。
この作品は、その気持ちを再認識させてくれたものなのです。
製作者・JAMさんも、当時神戸に住んでおられ、
避難所暮らしを経験された方です。
それだけに、うわべだけのストーリーでは無かったのも、
僕の胸を打った要因の一つだったでしょう。
実は「ハーバーランドでつかまえて」は、
製作者・JAMさんのホームページからもダウンロードできることを知ったのは、
退院して、しばらく経ってからでした。
思い立ち、製作者・JAMさんに直接メールを送ったところ、
お返事を頂くことが出来ました。
そのメールでは、次のような事が書かれていました。
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僕がこの「ハーバーランドでつかまえて」を作ったキッカケは
その地震の生み出した悲しさ以上に押し出したいものがあったからです
それは、「バイタリティ」です
当時はちょうど寒くて、最初は仮設住宅も出来ていないので
校庭でテントを張ってそこで暮らしてましたが 非常に賑やかで、
意外なほどみんな元気だったのです
人を気遣う心、思いやりがあったからこその 態度だったと今でも思っています。
それとTVなどでは、よく「震災の傷痕…」など「心に傷を負った子供達…」
とネガティブなイメージをよく放映します。
それももちろん伝えなければならないと思いますが
それ以上に押し出して欲しいのが「ガッツ」と「バイタリティ」です。
そんなみんなの姿と、僕の欲求を込めてみたつもりです
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製作者・JAMさんによるゲームの紹介では、
「関西嫌いの方に是非やってほしい」とありましたが、
僕はむしろ、地震を実際に経験して、その記憶が薄れつつある、
(関西に住む)僕達がプレイすべきではないかな…と思います。
ゲームは短く、簡単です。
しかも、どうしてもハッピーエンドにたどり着けない人のため、
ちゃんとヒントもHPのほうにありますので、 必ずラストシーンを見れると思います。
正直言って、なんで僕がこのゲームをこんなに支持するのか…、
自分でも、不思議なくらいです。
大手ゲームメーカーの作品と比べれば、
色々な点で…見劣りする部分も、確かにあるかもしれません。
でも…。
僕にとって、このゲームは、恐らく、一生忘れられないゲームでしょう。
どんな有名なゲームよりも・・・・。
ま、僕がごちゃごちゃ言っても仕方ないですね。
とにかく、実際にやってみてください。
きっと・・・あなたの心にも、 強く残る作品になると思います。
【追記】
「ハーバーランドでつかまえて」を製作したJAM工房さんは、2001年で活動を停止しています。
数年前、一部で熱心なファンの方が「JAM工房さんに復活してもらおう」との動きがあったようです。私のところにも「情報を」とのメールが来ました。しかしながら、JAM工房さんは既にゲーム製作をできるような環境にはないようです。…というか、元々は学生サークル的な集団、既に社会に出ておられる方々に「ゲームを作って」というのも失礼な話です。
残念ながら、「ハーバーランドで―」は、JAM工房の処女作でありながら最高傑作、と同時に最後の作品となりました。
JAM工房HPは完全放置状態ながら、今も「ハーバーランドで―」はダウンロードが可能です(最終確認:2007年7月)。現状ではいつ閉鎖されるか分からない状況なので、興味のある方は早めにプレイしてみることをお勧めします。
JAM工房さんHP跡地はこちらです。
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