平成29年(2017) 「開門神事福男選び」 |
毎年、お招きしている東北からの協力者。この年はユニークな2人を呼ぶことになった。
「福男選び」を、“本家”にはない「福親子」が手伝う…というのはマスコミの興味を引いたようで、取材依頼が殺到。対応に追われることとなった。
この年の1月9日は「成人の日」となり、成人式後、ノリで参加してきた新成人も多かったようだ。正直、軽い気持ちで“記念参加”するのはやめて欲しいが…。
メディアの過熱ぶりは相変わらず。クジ引きの際には報道スペースに入りきらないぐらいの取材陣が…。また、中にはコスプレまがいの格好で参加してきたアナウンサーも。伝える側がそんな認識で来ていることが恥ずかしい。 |
開門 |
開門・別角度から |
「天秤カーブ」に向かう集団 |
一番福が決定! |
福男による鏡割り |
今年の福男の雄姿 |
東北から招いた「福親子」の2人。父親・藤井博明さんはもちろん、初の“小学生ゲスト”となった逞くんも期待以上の働きを見せてくれた。特に開門前、博明さんが参加者に熱くと語りかけた時はグッときた。 「津波が来た時は、高いところへ逃げてください。助からなかった命がたくさんあったんです。お家に帰ったら大切な人と、その話をぜひしてください」 2人は開門神事に、本当に大きなものを吹き込んでくれた。心から感謝したい。 「福親子」の活躍は、各メディアでも大きく取り上げられた。
あるテレビの夕方ニュースでは特集も組まれ、福男選びだけでなく「韋駄天競走」のことも詳しく報じてくれていた。こうやって“輪”が広がっていくのは嬉しい限り。
「福親子」のインパクトが強すぎたが、今回の“陰のMVP”は釜石応援団の橋本英将さん。韋駄天競走の発案者でもある。現在は関西圏の大学で教鞭を振るっていることもあり、神社会館での福親子あいさつの前、釜石の現状、韋駄天競走の意義などについて熱く語ってくれた。素晴らしい。
また今回の神事では新たな企画として、開門前、Aブロック参加者と開門神事講社で集合記念写真を撮影、当HPで期間限定でダウンロード可能にした。 開門神事講社は「安全・円滑に神事を遂行すること」が最大の目的ではあるが、それを大前提として上で、どんなことができるか、考え続けていかねばならない。「神事だから」変えられないことも多々ある中、「神事だからこそできること」は何か。。参加してくれた人たちをはじめ、すべての人たちにもっと「神事に関わって良かった」と思ってもらえるのか,常に追い求めなければならない。
神事が終われば、次は“東北版・福男選び”への協力である。この年も岩手県釜石市「新春・韋駄天競走」と、「津波伝承・女川復幸男」への協力をさせていただいた。
2月に行われる「韋駄天競走」の主催は、釜石出身者で構成された釜石応援団と、ゴール地点であるお寺の仙寿院。だが祭りが大きくなっていくにつれ、応援団の皆さんは地元で実行委員会のようなものを立ち上げ「どうやったらこの先も続けていけるか」ということをしっかりと考えているようだ。
いつも感心する温かさと、優しさと、チームワーク。ここに来るたび大きな刺激を受ける。
年が経つにつれ注目度が高まっているのは3月の「宮城県女川町「女川復幸男」も同じ。女川は各メディアで“復興のトップランナー”と呼ばれている通り、凄まじい速さで町の再生が進んでいる。新しい道ができ、その周囲に新しい建物が並ぶ。たった一年で風景が変わっていく。 恥ずかしながら、この年の「復興祭」の打ち上げであいさつを振られ、号泣してしまった…。お酒を飲んでいたこともあっただろうか、なんだか思いがあふれて、感謝の思いを皆さんに伝えたのだった。 その直後だった。ある人に声をかけられた。その人とは…「某ちゃん」である。
震災後にNHKで放送され、大きな反響を呼んだ「ラジオ」というドラマがあった。震災後、女川さいがいFMにアナウンサーとして参加した女子高生の実話を元に制作された。 その主人公のモデルになったのが、その「某ちゃん」であった。可憐な雰囲気ながら、芯の強さを感じさせる瞳。どんな話をしたかは秘密だが、彼女の言葉から伝わってきた“女川愛”こそが、この町を包んでいるパワーそのものなんだろう、と感じた。とても貴重な時間だった。 釜石と女川。絆が強まっていくとともに、この開門神事「福男選び」をしっかり守っていかねばならない、という思いを強くする。 |
平成29年 福男選び結果 |
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一番福 |
鈴木 隆司 (すずき たかし) |
二番福 |
渡部 涼 (わたべ りょう) |
三番福 |
小野 陽之 (おの はるゆき) |