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平成22年(2010年)
 「開門神事福男選び」

 

 前回の神事の直前に「開門神事講社」が発足し、手探りのまま本番へ突入。明らかな準備不足だったが、多くの人たちの協力も得て、大きな怪我人もなく神事を終えることができた。それでも課題は多く残った。特に、クジ引きの際の近隣住民からの苦情。祭りとはいえ人々の生活に支障が出てしまうような状況を作ってしまったことは痛恨の極みであった。

 そして2年目。今回は「なんとか終えた」ではなく、明らかな「成功」が求められる。


大きな混乱もなく、クジ引きが行われた

  毎年、あまりに目につく「本気でない」参加者。コスプレ衣装や、ミニスカートでハイヒールの女性など、あまりに目につく者はこれまでもクジ引きに参加させなかったが、今回はこれを徹底。厳しい服装チェックを行い、合格した者だけがクジ引きの列に並べる。トラブルは皆無ではなかったが、警備・警察の協力も得て完遂することができた。「押し合いの状況から全力疾走する」…それがどれだけ危険なのか理解していない者が多すぎる。

 今回、新たに導入した「誓約書」。服装チェックに合格した者に署名してもらい回収した。神事についての危険性、そして福男に選ばれることはどういうことなのか。いくら口頭で言っても伝え切れないのなら、こちらがアクションを起こさなければならない。


今回から導入された誓約書「開門神事参加心得」

 本来は昔のように、自由に集まって自由に参加できるのが一番いい。しかし現在の開門神事は、いつ大事故が起こっても不思議でない状況になっている上、警察も神事の安全管理に目を光らせている。全ては、みんなに「福」を持って帰ってもらうため。どうかご理解頂きたい。


クジ引きに集まった1500人の列

 これまでは、クジ引き参加の希望者は基本的に全て受け入れる体勢でいたが、それではキリがない。今回は苦渋の決断で、クジを引けるのは「先着1500人限定」。すぐにイッパイになるかと思われたが…意外や意外、定員に達したのは、締め切り時刻(10日午前0時)の十数分前だった。

 

 

開門直後
一斉に走り出す参加者たち。昨年に引き続き、開門は開門神事講社が担当。

 

ダッシュする参加者たち
別角度から。向かって右側、南くんが好スタート。

 

福男が決定!
左から三番福・藤本くん、一番福・南くん、二番福・中居くん

 

 見事に一番福に輝いたのは、大阪体育大学の陸上部・南くん。2番福に大きな差をつけて栄冠をゲットした。ところが…インタビューでは「おしっこ行きたい」「ヒマだったから参加した」などのオトボケ発言を連発、さらに認定式の際に大あくび。次の日の新聞には「今年の一番福はチョ〜天然男」などの見出しが躍った。南くんの行為を不快に感じた人もいたようで、ネット掲示板では「なんだ今年の福男は」との書き込みもチラホラと見られた。


翌日の新聞には「天然男」などの見出しが…

 後日、彼に会う機会があったのだが、各マスコミの報道内容やネット上での中傷にショックを受けていた様子。本当にふざけた人物ならお灸を据えるべきかと思ったが、印象は「ちょっと調子のいい今どきの大学生」といった感じ。節分祭のための餅をつく「福もちつき」にも遠方から来てくれて、しっかりと福男としての役割を果たしてくれた。


「福もちつき」に参加しいてくれた一番福・南くんと二番福・中居くん

 …とはいえ、今や開門神事は全国中継、さらには海外にまで配信されている。今一度参加者に「神事」であることを認識して欲しいと感じたのも事実である。

 

 そしてこの年も、一歩間違えれば大事故になっていた場面があった。開門直後の「Cグループ」の暴走である。安全を確保するため、現在はスタート位置をブロック分けして行われているが…まだGOサインが出ていない状況で、Cグループが動き始めたのだ。必死に止めようとする警備員と警察、そして開門神事講社講員。しかし興奮してしまった人々は止まらない。最終的には制止を振り切る形でCグループがスタートとなった。


必死に暴走を止めようとする開門神事講社講員

 これまで最も危険と思われていたのは、開門と同時に全力でダッシュする最前ブロックだった。しかし、本当の危険はその後ろにあったのだ。次回以降の対応を考えなければならない。

 全ての人に「福」が訪れますように。

 

平成22年 福男選び結果
一番福
南 英俊 (みなみ ひでとし)
二番福
中居 正太郎 (なかい しょうたろう)
三番福
藤本 貴士 (ふじもと たかし)

 

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