平成17年(2005年) 「開門神事福男選び」 |
昨年、史上最大の騒動に巻き込まれた「福男選び」。この年の神事がうまくいくかどうか、まさに試金石の年だった。どうすれば神事をトラブル無く終えることができるのか。神社側、そして私を含めた参加者の有志で話し合いを重ねた。 今まで全てが「参加者同士の暗黙の了解」で進められてきた神事。ここまで来ると、ある一定のルール、取り決めを設定せざるを得ない。年々増え続ける参加者の安全を確保し、過熱する場所取りに歯止めをかける方法…議論を重ねて行き着いたのが「クジ引きによるブロック分け」であった。参加希望者全員でクジを引き、当たりを引いた者だけが門から一番近い「Aブロック」からスタートできる、というものである。 これにより、門前で数日も前から待つことが意味を持たなくなった。また、神社側から正式に「寝泊り禁止」の通達を出した。この年、初めて設置された看板にも明記されている。 マスコミはこの看板を、「前回の騒動を受けて設置!」と取り上げたが、この看板に書かれているのは、2番意外は今までも言われてきたこと&当たり前のことである。いかにマスコミを初め、世間から注目されていたかが解る。 前年の騒動を受け、各メディアから過剰なまでに注目された「福男選び」。まさにこの年は、この神事にとっての“試金石”であった。 |
開門 |
第一の直線 一番前にバランスを崩している人がいる。ただの直線のようにも思えるが、参道は窪みなどが点在しており注意が必要だ。 |
「天秤カーブ」付近。参加者激走! |
念願かなって石田くんが一番福! |
福男が決定! |
福男による鏡割り |
「平尾さん、ホントにこれで良かったと思ってるんですか!?」 2005年度「福男選び」が終了し、夜が明けた西宮神社境内で、ある参加者が私に放った言葉である。彼は福男選びの常連で、この神事に対しての思い入れは人一倍強い。社会人一年生の身ながら、時間を見つけてトレーニングしてきた。そして現在は遠方に住んでいるにも関わらず駆けつけてきた。 今回は福男選びの準備を、神社の氏子である「若えびす会」にお願いして進めてきた。また、私(平尾)を含めた神事の参加者の有志「福男向上委員会(仮)」も協力しながら、神事はどういう形にすべきかを話し合ってきた。 「開門と同時に、一斉に本殿を目指す」――。 それが魅力のひとつだったはずの神事。しかし、今回は警察の指導まで入ったため、こういう形に収まるのがベストだった。いや、これをベストだと信じるほか無かった。 冒頭の彼はクジ引きで外れ、先頭集団の100人に入ることはできなかった。前年までのように、開門と同時に全力で走り、負けたのなら納得するだろう。だが今年は…。この彼も事前に説明を受け、本当は納得はしているはず。だが心の奥底に引っかかっていた言葉が、私に向かって投げかけられたのだろう。 そして…先頭の100人に入れた人間の“質”も、彼の憤りの一端となっているに違いない。 近年指摘されている、“参加者の質の低下”に歯止めがかからない。 昨年は大騒動になり、何かと注目された今回の「福男選び」。なんとか無事に終えることはできたが、まだまだ問題はいくらでも残されているのだ。 |
平成17年度福男選び結果 |
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一番福 |
石田 博康 (いしだ ひろやす) |
二番福 |
堀尾 泰寛 (ほりお やすひろ) |
三番福 |
大迫 純司郎 (おおさこ じゅんじろう) |