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石切夢観音

大阪府東大阪市

 


怪しい店が軒を連ねる町・石切。

 日本有数のミステリースポット、大阪・石切。腫れもの・がん封じの神様として信仰深い「石切神社」の門前町である。

 怪しい占いの店が軒を連ねるちょっと異様な町は、たびたびTVでも紹介されている。

 今回は、その石切のはずれの霊堂に安置されているという「石切夢観音」を訪ねる。

 

 

 近鉄石切駅から、山側へ。

 坂道を登ること数分。目の前に、とってもゴージャスな霊堂が現れる。

 


「石切夢観音」霊堂。なんかスゴイぞ。

 


霊堂前のペガサス像。カッコいい!

 たまげた!霊堂の入り口に、なんとペガサスの像が!狛犬でも仁王像でもない。神話の世界から抜け出してきたかのような天馬は、空に大きく脚をかかげ、神々しいまでの姿を見せている。ちなみに一方は口を閉じ、もう一方は口を開けている。これって「あ・うん」を意識しているのか…?

 霊堂の上には、天女とみられる彫刻が。むうう、とりあえず凝っている。

 ちなみに、入り口前のスペースは噴水…だったらしい。水が溜まっていた跡はあるが、しばらく使われた形跡がない…。

 何はともあれ「石切夢観音」への期待が、メチャクチャ高まってきた。

 


入堂口横にある鹿の看板。

 入堂口前、看板がお出迎え。

 犬?いやいや鹿でございます(たぶん)。ちなみにこの鹿、霊堂各所の案内看板に登場している。いわば石切夢観音のイメージキャラクターってとこか(^_^;)うむむ、あまりユルくない。

 「受付で授与品をお求めの上、ご礼拝下さい。」

 どうやら拝観料として300円が必要らしい。窓口でオバちゃんにお金を払う。

 


拝観料と引き換えにもらえる3点セット。

 

 窓口では、拝観料と引き換えに3点セットがもらえる。「拝観券」「形代(かたしろ)」「お守り」。形代は後で必要になる重要アイテム。お守りは…ありがたいモノだが、一度もらったが最後、なかなか気軽に捨てられないという欠点がある。

 

 

 

 そしていよいよ、霊堂の中へと足を踏み入れる!「石切夢観音」とは、一体どんな姿をされているのか?もう心臓が破裂しそう!夢観音さま、そのお顔を拝見させてください!

 

 

 

 

 

 

 

…な!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……な!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…なんじゃこりゃ〜!

 何かの間違いかと思い、周囲を見回してみたが…“コレ”以外は何も見当たらない。つまり…このマヌケ面(失礼)が石切夢観音らしい…。おお、ジーザス…。

 


「石切夢観音」。この姿は…。

 まるっきり、ありがたみのカケラも感じられない姿だ。真っ先に頭に浮かんだ言葉は「子供のラクガキ」。…いや、ハッキリ言おう、幼稚園児でも、もうちょいマシな絵を描く。

 人と同じくらいの高さ、170センチぐらいだろうか。金色に着色されており、どうやら材質は金属のようだ。背中から腕のようなモノが生えているのを見ると、一応「千手観音」なのだろう。

 普通、こういう場所に来たら、賽銭でも投げ入れて手を合わすものであるが…ゴメンナサイ、私はそんな気が一切起こらなかった。

 …というか、したくありません。

 

 

 


人の気も知らず、のん気な鹿。

 何とか気持ちを落ち着かせる。案内板を読んでみると…。

 「純粋無垢な幼児が、自分の名前をやっと書くことができた喜びで、はじめて拝んだ『千手観音』を思い出し、さっと書いた絵に夢を託して「夢観音」と名付けました」

 例のイメキャラの鹿も笑顔で「人生に夢と希望をお授けくださる夢観音さまです」とか抜かしている。私は今、その夢観音さまのおかげで、絶望の淵にいるんですが…。

 …う〜ん、なんか“うさんくさい”んだよなぁ。この観音さま、本当に幼児が描いたのか?わざとらしくズラしたような目の位置、左右の腕の本数の違いなど、意図的なデザインを感じるのだが。

 

 

 とりあえず、霊堂を冷静に見渡してみる。

 厳かな空気が流れ、照明もなかなかムードあるぜ。

 


霊堂はとてもキレイ。本尊がコレじゃなければ…。

 

霊堂の一角にグッズ売り場を発見。

 


「夢観音」グッズ。素晴らしいラインナップ!

 

  絵馬をはじめ、夢きんちゃく、夢バッグ(ともに千円)、さらに夢トレーナー(三千円)とラインナップは豊富。むうう、そのうち渋谷の表参道あたりで流行るかも知れぬ。先行投資しようかとも思ったが、やめた。私とて、そんなにバカではない。

 

 さて、入り口でもらった「形代」。これを使ってみる。この儀式が、まさに「夢観音」参拝のハイライトとなる。

 


「形代」使用法の解説板。

 


ゆっくりと流れていく「形代」。

 夢観音像の周りには水が流れている。色とりどりの光でライトアップされ、なかなか幻想的な雰囲気である。

 ここで、入り口でゲットした「形代」の出番である。願い事を念じながら形代に3回息を吹きかけ、それを水に流すのだ。

 形代を水に浮かべる。流れは緩やかで、いつまで経っても進まずイライラ。「おい、早よ進め」とウチワで扇いじゃったりして。良い子はマネしちゃダメよ。

 私の願い事は…ヒ・ミ・ツ♪

 

夢観音像の裏手に、像の原画になったと思われる絵が飾られてあった。

 


「夢観音像」の原画?

 

 ここでピンときた。「この絵は、幼児が書いたものではない」ということ。字さえマトモに書けない幼児が、こんな絵を描けるはずがない。資料を見てみると、どうやら設計は著名な彫刻家が行った模様。

 つまり夢観音は「幼児が純真無垢な心で書いた」のではなく「大人がわざと下手に書いた」観音さまなのだ。像からにじみ出る“うさんくささ”の原因が分かったような気がする。

 

 

 霊堂の奥から、屋上の展望台「開花雲上来土」へ上ることができる。高台から大阪市外を一望でき、かなりの絶景である。

 


「開花雲上来土」からの眺め。気持ちいい!

 

 

 私は風景を眺めながら、ある小説のことを思い出していた。尊敬するSF作家・星新一さんの作品「きまぐれ指数」に出てきたワンシーンだ。

 


星新一著「きまぐれ指数」。


 ある寺の仏像がすり替えられた可能性が出てきた。今、置かれている仏像は由緒あるものか、それともニセモノなのか…。周囲の騒ぎをよそに、寺の住職は落ち着いたもの。人々にこう言って諭す。

 「仏像とは仏さまを模して作られたもの。いわば、みな模造品。ニセモノも本物もありません」

 住職、さらに続ける。

 「価値のある仏像だからありがたい、安物に手を合わせたら損だ…では、仏さまのみ心に反します」

 真に信仰心を持っている人からすれば、その仏像に「価値があるのかどうか」は大したコトではない。信仰する仏さまの姿がそこにある、それが重要なのだ。

 

 奈良の大仏を見に行けば、誰もが賽銭を投げ入れて手を合わせる。だが、売店でお土産用に売っているミニチュア大仏に、誰が手を合わせるだろう。それって当たり前?厳密には魂が入っている、入ってない…ということもあるだろうが、信仰という点で考えれば、国宝の大仏も数百円の大仏も「仏さま」。崇拝の対象だ。

 


夢観音に込められた意味とは…?

 日本人ほど「信仰」にいいかんげんな人種は無いと言われている。

 神さま仏さまを信じてもいないくせにクリスマスだ、初詣だと騒ぐ。結婚式は教会、葬式は寺。もうメチャクチャである。

 夢観音とは、そんな日本人の信仰に対するアンチテーゼではないか。こんなバカげた姿の観音さまに、あなたは手を合わせることができますか?という問いかけ。先入観を持たぬ、本当の信仰心を持つものだけが手を合わせることができる、そんな“人を試す”像なのではないか。

 …考えすぎか。

 

 

 

あなたは「石切夢観音」に、手を合わせることができますか?

 

 …私は、ムリです。

 

 

 

 

石切夢観音

位置
東大阪市上石切町2丁目

アクセス
近鉄石切駅より、山側へ徒歩5分。
駅から霊堂が見えるので、迷うことは無いかと。

備考
参拝できる「開堂日」は日曜・祝日と毎月1日のみ。
拝観料300円が必要です。
最終更新日時:2009年7月8日

 

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