今まで西宮神社側は、「午前6時に開門を行う。それ以外のことは干渉しないので、参加者同士でうまくやって欲しい」というスタンスを取っていた。
その理由として、
・閉門(午前0時)から開門(午前6時)まで、神社内で神事が行われる
・絶対的に人員が不足している
・そもそも、門外がそのような状況に陥っていることを知らなかった
ということを挙げている。
だが、近年の混乱を見ていると、そんなことは言っていられなくなっている。
これに対して我々は、
・神社側からの警備人員の配置
・担当者による、拡声器(メガホン等)での継続的な呼びかけ
・ロープ等を使った段階的後退指示
・参加者の順番を示す「整理券」の配布
(過去も配布していたが、あくまで参加者の自主的なもの。今回は神社側が公式なものを出す)
などを提案した。
1.「神社側の指示」の威力
前回までも警備員が居るには居たが、道路にはみ出した参加者を整理する交通整理員でしか無かった。
今回、本格的に「警備員」が活躍したように思う。西宮神社・警備担当の堀熊さんを中心として、常に拡声器で指示を行って下さった。
やはり「福男選び」の開催者はあくまで「西宮神社」である。その関係者が常に指示を出してくれることは、とても大きな意味をもつ。
特に開門直前、混沌として収集がつかなくなりつつある中、神社関係の警備員が赤門に上り、大声で指示して下さって助かった。
「ここまで来たんやから、フェアに行こうや、フェアに!!」
と繰り返し叫んでいたのは、参加者にとってマナーを冷静に考えさせてくれた。このような呼びかけは継続的に行って欲しい。
2.「ロープ等を使った段階的後退指示」の成功
今回、委員会側が最も強く提案したのが「ロープを使い、段階的に後退指示を出し、混乱を抑制することはできないか」ということだった。今回はそれを試験的に行ったのだが、かなりの効果があったように思う。
手段として、
・門前の参加者の中にロープを入れ、2つ集団を分断する
・前後の集団の間に1m程度の間隔ができるよう、後方集団をじりじりと後退させる
というものだった。
ただし、今回はあくまで試験的な導入であり、色々な点において改善策を追求するとともに、指示についての取り決めなども行う必要があると思われる。
改善案として、
・今回は使用したロープは1本。
→複数本を導入すれば、さらなる効果が出ないか。
特に後ろの集団の先頭は後方から強烈に押されており、いつ倒れてもおかしくない状況だった。
後方の集団を、さらにいくつかに分けて後退指示を出すべきだと思われる。ロープ(参加者のブロック分け)を3〜5つまで増やすべきかと思う。
・ロープを張っている横側から回り込み、前の集団に割り込む参加者がでると困る。
→ロープを張る人とは別に、サイドを監視する人員の配置が必要ではないか。
また取り決めについては、
・今回は開門約10分前にロープをはずした。
→どれぐらいの時間にロープをはずすのが適切か。
・ロープをはずしたとたん、一気に後方から参加者が押し寄せ、危険な状態になった。
→ロープをはずす際に、適切な指示はないか。
などが考えられる。
個人的な意見では、今回の「ロープを使った段階的後退指示」の導入は効果的であり、今後も改善しながら、継続して行うべきだと思う。
3.今年も起こったあわやの「時間前開門」
毎年起こっている、「時間前開門未遂」。
平成15年度も6時の10〜5分前、閂(かんぬき)が抜かれた音で参加者が興奮し、前方に圧力をかけたために門が半開。僅かな参加者が開門と勘違いして走り出したが、神社関係者の抑制により事なきを得た。
もしあのまま、一部参加者がそのまま本殿へ向かっていたら大変なことになっていた。
(TVニュースでも流された「時間前開門」。片側の扉は完全に開いてしまっている)
毎年のことだが、本当にヒヤリとする瞬間である。神事そのものが壊れてしまう危険を秘めている。
またこの時の混乱により、参加者の位置が大幅に変わってしまい、トラブルが起こりかねない状況になった。
開門まで決して門が開かないように、早急な対策が必要である。
先に述べた「ロープを使った段階的後退指示」や「拡声器による呼びかけ」、さらには門を抑える人員の増加などが考えられる。
4.「参加整理券」及び「参加者一覧表」の導入
数年前までは、「門前に来た人からスタート位置を決めていく」という暗黙の了解があった。だが、近年の参加者の増加・およびマナーの低下から、トラブルも発生しはじめている。苦肉の策として参加者の一部が「整理券」を自主的に製作・配布してきたが、「公式なものではない」ということから、それを守らない参加者も出てきた。
今回、委員会が求めたのは、神社側から出される「公式な」整理券である。主催である神社側が発行したものとなれば、参加者はそれに従わざるを得ない。
また、整理券の配布と同時に、一覧表を用意し、現場に到着した参加者から名前を書いていく、というものも導入した。
今回の「福男選び」は参加者が非常に多く、例年を遥かに越える人々が9日から門前に集結した。もしこれらが導入されていなければ、大きなトラブルが起こったかも知れない。
神社側からの「整理券」及び「参加者一覧表」は、これからも是非とも継続して欲しい。
しかし、それでも問題点は多々あった。
・整理券だけもらって、夜まで自宅に帰る参加者がいた。
また同様のパターンとして、
・グループで門前に来ていて、別の参加者(後輩等)に「代理場所取り」させ、本人はその場に居ない
・・・というのもあった。
門前に来ているからには、「場所取りのために並んでいる」のだから、原則的にずっとあの場所に居るべきである。特に初参加となる参加者には、そういう部分の自覚が足りなかったように思う。
平成15年度は急遽、その対策案を立てた。「神社関係者が定期的に門前に来て、リスト順に点呼を取る」というものである。当然、点呼時に居なければ失格とする。
今回はあまりに急な対策だったので、このことにも正式な取り決めが必要なのではないか。例えば、点呼を取る神社関係者の割り当て、2回連続点呼にいなければ失格・・・など。
5.年々早くなる「開門待ち」
数年前は、9日午後に門前に来れば一番乗り・・・という状況だったが、ここ近年で一気にその時間は早まった。平成15年度は3日前に門前に到着し、テントを張り、バーナーを持ち込んでさながらキャンプのごとく待つ、という参加者が現れた。
「門前に早く来て待つ」という参加者はそれだけ福男への熱意があるということでもあり、これを規制することは難しい。だが、ある一定の決まりを設けるのも必要かも知れない。
例えばテントを張るということは、少ないスペースを一部参加者が占有するということである。また、キャンプ道具などを持ち込むと、赤門・・・木造重要文化財のすぐそばで火を使用するということだ。
次に列挙するのはひとつの「案」としてだが、
・テント使用についての規制、もしくは禁止
・火気使用の禁止
・9日朝までに来た参加者にはクジを引いてもらい、順番を決める
(これにより9日朝までに来た参加者には同じ扱いになり、門前に集まる時間を抑制できる)
などが考えられる。
先に書いた理由により、数日前から参加者が集まることについての抑制は難しい。だが、テント及び火気の使用への取り決めは早期に行うべきである。
ここ近年の「福男選び」に参加して強く思っているのは、「本格的な神社側からの規制が必要」だということである。もはや「参加者任せ」の状態では、トラブルの発生を抑えきれない。
浮上している様々な問題について、神社側の早急な対応が望まれる。また参加者側である我々「福男向上委員会(仮)」からも、様々な問題提起・改善策を出して行く必要があるだろう。
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