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その3

「1500人限定」に込めた願い

◆増え続けるクジ引き参加者

 次の数字を見てほしい。

15040080015004000

 何の数字かお分かりだろうか。…実はこれ、開門神事に先立って行われる、最前ブロックに入るための「クジ引き」の希望者数の推移である。ほぼ、前年の倍になるという、異常とも言える急激な増え方だ。

 参加者増加に歯止めをかけるため、平成21年はクジ引きの開始時間を深夜2時に設定した。深夜に行うことで、より参加者の“本気度”を計り、境内から流れてきた参拝客の“その場のノリでの参加”を抑制するためであった。ところがこれが裏目に出た。午前1時を回っても参加者は増え続け、最終的には参加者は4000人にまで達し、その列の長さは約400メートル。それは住宅地まで伸び、近隣住民から苦情が寄せられる事態となった。


この年、クジ引きの希望者は何と4000人…

 増加の一途をたどった一因に「クジ引きは希望者全員が引けた」ことにあると思う。100人でも4000人でも、受付締め切り時間までにクジ引き会場に並んだならば、たとえ最後尾であってもクジを引くことができ、なおかつ当選する可能性があった。

 もしも、この4000人が全て「開門神事に参加する」という自覚を持っていたならば、いくら人数が増えようと“全ての人にクジを引いてもらう”方針を貫く対策を考えていたかもしれない。ところがそうでは無かった。まるで神事に参加する自覚のない者、惰性で並んだ者…クジ引きの際、目の前で女性に「あ、当たってもた…どないしよ」と言われた時は目が点になった。その後に「走れません」と辞退。走る気も無いのにクジを引くな。迷惑だ。

 クジ引きを待つ参加者の態度も、一部の者には酷いものがあった。深夜の住宅地にも関わらず大声で叫び、そこらのブロック塀で用を足す。服装チェックがあると知るや、その時だけコソコソと友人同士で靴を交換…関係者からはため息が漏れた。

◆「服装チェック」を徹底へ

 クジ引き参加者を1500人に絞ることは、前回に多大な迷惑をかけてしまった近隣住民への配慮が第一。しかし同時に、クジ引きからいいかげんな者を排除し、「本気モード」だけの参加者だけにしたいという狙いがある。

 近年、あまりに自覚のない参加者が目立っている。昨年も一昨年も、スタート時に転倒し怪我を負った者がいた。開門神事はあくまで「神事」であり、そして「危険」が伴う。真剣に、走れる服装で参加している者でも、すぐ前の者が転倒すれば避けられない…そして後続は将棋倒しとなる。

 いいかげんな奴が痛い目に遭うのは勝手だが、たった一人が転べば、必ず他の者も巻き添えになる。もし神事の最中に大怪我、さらには死人まで出てしまうと神事そのものの存続が危なくなる。「自己責任」などという甘い言葉は通用しないのだ。


一人が転べば、後続も巻き込まれ危険な状態に

 参加者に自覚が無いのであれば、神事を運営する側である程度の予防策を講じる必要がある。そして数年前からは「服装チェック」を行っている。当初は開門前、門前に集まった参加者の服装チェックを行い、あまりに酷い参加者は改善を指導していた。しかしそれではタイミングが「遅い」。平成21年からは、クジ引きの時点で服装チェックを行うことになった。少なくとも門前のAブロックに入ろうとしているならば、それなりの服装(準備)、そして心構えができていないといけない。最低限の準備ができていない人間は、早い段階から排除してゆく。

 前回は服装チェックは行ったものの、4000人という予想をはるかに超える人数が集まったことで細かなチェックができず、クジ引き直前に指摘する形となった。これには「せっかく並んだのに」という声もあったのも確かだ。今回は「クジ引きの列に並ぶ」時に服装チェックを行う。参加者が1500人限定となったことで、以前よりも徹底できるはずだ。

◆クジを引くための条件

 では、開門神事に適した服装とはどんなものか。クジ引き会場の入り口には、以下の内容の看板を掲げる予定だ。

「クジ引きを希望する参加者へ」

 開門神事は多くの参加者が一斉に走り出す危険が伴うものであり、同時に歴史ある「神事」です。以下の条件を満たしている者しかクジを引けません。

(1)全力疾走可能な「運動靴」を履いていること。
  
認められない例:ゲタ、サンダル、ハイヒール、革靴、カジュアルシューズ等

(2)安全で、神事に参加するのに相応しい服装をしていること。
  
認められない例:スカート、ズボンをずり下げたファッション、コスプレ、被り物等
 
(3)その他、係員が相応しくないと判断した者は不可。

 これらについて、詳しく説明しよう。

・全力疾走可能な「運動靴」を履いていること。

 何度も述べているように、開門神事は多くの危険が伴う。安全対策としてブロック分けしているとはいえ、多数の人間がギュウギュウ詰めの状態から一斉に走り出すのだ。少なくともAブロックに入る意思のある者(つまりクジ引きに参加しようとする者)は、全力疾走に耐えうる靴を履いて臨むべきだ。

 時々「クジに当選したら、家に帰って履き替えてくる」という参加者がいるが、それも認めない。「クジを引きに来た」のではなく「開門神事に参加しに来た」ということを示して欲しい。

・安全で、神事に参加するのに相応しい服装をしていること。

 言うまでもなく、開門神事は「神事」である。開門と同時に走るのは「一番乗りで神様にお参りする」のが目的なのだ。そう考えると、どんな服装がダメなのか分かるだろう。被り物、コスプレまがいのコスチューム、さらに若者によく見る、ズボンをずり下げた下着を半分見せているようなファッション。これらの者は、神事に参加する心構えなき者と判断し、クジ引きの列に入れない。

 上記2点については、クジ引きの列に入る時にチェックさせてもらう。

・その他、係員が相応しくないと判断した者は不可。

 今回は、参加者の「態度」についても厳格な対応を取る。

 開門神事のクジ引きは深夜に、住宅地に隣接した場所で行われる。先に述べたような、大声を出すような者、所構わず用を足すなど言語道断。神事に参加する以前に、人として常識に外れるような振る舞いの者は、強制排除もありうる。

 また服装チェックをクリアするために靴の交換などを行ったものは、貸した者、借りた者、双方を失格とする。

◆「参加心得書」を配布

 さらに今回、服装チェックを終えた参加者には「参加心得書」を配る予定だ。これには、クジ引きや神事に参加する者への、様々な注意事項を記載している。参加者は内容に納得した上で、署名してもらうことにしている。


今回は「参加心得書」を配布、署名してもらう

 

 当初は署名までしてもらわなくても…とも考えたが、近年はあまりに自覚なき参加者が増えている。「これは神事、モラルを持って参加を」をいくら呼びかけても改善されず、それどころか最低限のマナーも守れない人間がいるのであれば、こちらからアクションを起こすしかない。

 署名してもらった以上、書かれていることは必ず守り、破った場合は即失格、それなりの責任を取ってもらう。

 今回、クジ引きに参加できるのは限定1500人。その中に自覚なき者、いいかげんな者の入り込む余地は全くない。