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「夢の国」が消える

 

2002年、4月9日。
思いもかけないニュースが飛び込んできた。

宝塚ファミリーランド、来春閉園決定

その新聞の記事を目にした時、私は一瞬、何がなんだか解らなくなった。
「なぜ、なぜ…」。

私は僅か一週間前、友人と訪れたファミリーランドの風景を思い起こしていた。

一週間前、私は約10年ぶりにファミリーランドを訪れた。
宝塚歌劇を見るために、久しぶりに訪れた宝塚。
劇開演までの時間を利用して、ファミリーランドに入場したのだ。
「懐かしい…。」 目にするもの全てが懐かしかった。
そして私の心は、次第に幼かったあの頃に戻って行く。
父や母に連れられ、よくこの「夢の国」に訪れた頃に。
私の幼稚園〜小学校時代は、本当に良くファミリーランドを訪れた。
とりわけ遊園地が多い関西において、
ファミリーランドはその中でも別格。
関西の遊園地といえば、誰もが真っ先に思い浮かべる場所であった。

そして今。
過激さとハイテクをウリとする巨大テーマパークの出現で、
どの遊園地も客離れに苦しんでいる。
ファミリーランドも例外では無かった。

ファミリーランドは、巨大テーマパークとの差別化を図り、
動物と触れ合える」コーナーを多く授けている。
ひよこを直接触れるコーナーがあった。
手のひらにひよこを乗せてみた。
「ぴよぴよぴよ…」。
小さく鳴くひよこがいとおしく思えてくる。

ファミリーランドに「過激さ」はあまり必用無い。
何故ならここは「夢の国」。
人々が現実を忘れ、ほのぼのした雰囲気に酔いしれる場所なのだ。
「ずっと、ずっと、この遊園地は残って欲しい」
そう心から願った。

その矢先のニュース。
私はその現実を受け入れる事ができず、
ただ、呆然と立ち尽くす事しかできなかった。

思い立ち、昔の写真をあさってみた。
大量に出てくる、ファミリーランドの写真。
私はファミリーランドと共に成長したと言っても過言ではない。

 

私にとって、宝塚ファミリーランドは、
まさに「夢の国」だった。

さようなら、そしてありがとう。 私の…「夢の国」。

 

「宝塚ファミリーランド」2003年4月7日閉園予定。


昭和53年4月、平尾亮2才。
宝塚ファミリーランドにて。

 

 

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