先日、大阪を歩いていた時のこと。
私はある横断歩道に向かっていた。
JR大阪駅の東側、大きな横断歩道。
ここはJR大阪駅と阪急電鉄梅田駅を結んでいて、
連日、何万人という人が通る場所だ。
ところが、何やらうるさい。
どこかで、ストリート・バンドが演奏しているようだ。
横断歩道に近づくにつれ、その音は大きくなっていき、
しまいには耳を塞ぎたくなるような大音量となった。
見ると、横断歩道のすぐそばの、大きな陸橋の上で演奏しているらしい。
スピーカーを使っているようで、
ドラムの重低音で、気分が悪くなってしまった。
私は、路上でギター等を演奏する、
いわゆるストリートミュージックというものに対し、
ほとんどと言ってもいいほど興味が無い。
あえて言えば、つい「別の場所でやれよ!」と怒鳴りたくなるような、
マナーの悪い演奏者も多いこともあり、
どちらかと言ったらあまりいい感情は持っていない。
しかし、それはあくまで個人的な意見の一つであって、
ストリートミュージックそのものを否定しているわけではない。
実際、路上から多くの素晴らしいミュージシャンが生まれているのも、 これまた事実だからだ。
路上からメジャーデビューを果たしたミュージシャンは、
プロの作曲家・作詞家では絶対書けないような曲を生み出す。
そしてそれが、今や日本において、
無くてはならないものにまで昇華しつつあるのも、知っている。
私が言いたいのは、当たり前の事かも知れないが、
「最低限のマナーををわきまえて欲しい」と言う事だ。
例えば、冒頭のバンド。
あれはストリートミュージックなどではない。「音害」だ。
音楽と言うものには人それぞれ好みがあり、押し付けられるものではない。
あれほど人通りの多い、しかも横断歩道という「人が立ち止まる」場所で、
ガンガンに彼らの音楽を押し付けられてはたまらない。
そして、あの大音量。
以前、某テレビ番組の特集で、
ある大阪駅周辺で活動しているストリートミュージシャンが、
「他のミュージシャンの演奏の妨げになる範囲内では、
決して演奏しないのが暗黙のルールです」
と、言っていた。
あのバンドのように、スピーカーまで使って演奏すれば、
あたり一帯は他のミュージシャンが演奏できない。
路上でスピーカーを使うこと自体、どうかと思う。
しかも元々、無許可で路上演奏しているはず。
それなりの節度が必要なのではないか。
そんなに大きな音で演奏したいのなら、 ライブハウスでも借りて演奏してくれ。
重ねて言っておくが、 私はストリートミュージックそのものを否定してはいない。
私も偶然耳にした演奏に、 「おっ」と聞き耳を立てたこともある。
そういうのが好きな若い女性なら、 立ち止まって、熱心に聞き入る人もいるだろう。
それは時に、大きな人の輪となり、 素晴らしい空間を生み出すこともある。
だが、マナーの悪い演奏者が無くならない限り、
周囲の人の目は冷たくなって行くばかりだろう。
ストリートミュージシャンの方々、
どうか、人に無理やり聞かせる音楽ではなく、人を立ち止まらせるような音楽を演奏して欲しい。
あなたが演奏する音楽を、
全ての人が求めている・・・なんてことはあり得ないのだから。
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