なやさん、あなたは強かった |
本日は2002年、11月1日。 一年前の今日・・・私は大切な友人を一人、失った。 |
【1】
私とその友人・・・なやさん(仮名)は、本当にひょんなコトで知り合った。 ある日、私のノートパソコンに、一通のメールが届いた。 なやさんは、3人のお子さんがいる主婦。 『なやです!こんなおばはんにメール送られるのいやでしょうが、我慢してね!(^.^#)』 そんな書き出しのメールが、私となやさんの出会いだった。 それから、なやさんとのメールのやり取りが始まった。 そして、2001年2月24日、 『私もりょう君と同日に退院決定しました。生きていられる事に感謝して!万歳!』 遠く離れているけれど、二人で同時に退院できる!
私となやさんの退院から約2ヶ月。 春がやってきた。 なやさんに会えて、良かった。 そう、心から思った。
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【2】
春は短い。桜が完全に散ると、 そんな、ある日。 ある知らせが入った。 助かる確率が、わずか10%。
なやさん、入院前日。 私はなやさん宅を訪れることになった。 しかし・・・。 結局、なやさん宅にいる間、 入院の話はほとんど出なかった。
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【3】 なやさんが入院してからも、 たびたび、メール交換をする事ができた。 彼女のメールには、時々難しい名前の治療法が出てくる。 『負けません!白血病なんかくそくらえ! 『きっと乗り越えてみせる! (共に、なやさんからのメールより) ほんとうに、どちらが病人か解らない。
8月も終わろうという時、 私は、ある物をなやさんに贈った。 数日後、なやさんからのメールが届いた。 『さっそく願かけながら片目を入れさせてもらいました。 彼女の壮絶な戦いに、少しながら力になれただろうか。
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【4】 夏は終わりを告げ、次第に木々が色づき始めた頃。 なやさんが、非常に危険な状態になった、 そんなバカなっ!! 私はなやさんの入院している病院に駆けつけた。 何を言っていいか解らない。 「絶対良くなるから。病気なんかに負けへんよ」。 なんちゅう人だ。病状は、本人も知っているはず。 なやさんの手を握ったら、物凄く熱かった。
それから数日後に、なやさんからメールが来た。 『前向いて生きてまっせ〜。必ずや復活しますので待っていて下さい』 それが、なやさんからの最後のメールになった。
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【5】 私は、なやさんの葬儀に出席した。 なやさんは、病気に打ち勝つことはできなかった。 なやさんは決して、病気に「負けなかった」。 最後の最後まで、なやさんの口から、弱音を聞くことは無かった。
あれから一年。 その記憶は、私に勇気を与え続ける。 なやさん、あなたは強かった。 (2002年11月1日) |